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2022-04-18

博多包丁|大庭鍛冶工場 家庭用包丁にこれ一本で大活躍!福岡の鍛冶屋


福岡市中央区清川。大きなマンションを背に時の流れに逆らうような佇まいの鍛冶屋を発見しました。都心に響くカンカンカンと鉄を叩く音に道行く人々も思わず視線を奪われてしまう様。

そこは「大庭鍛冶工場」。

大正時代からこの地で、現在3代目の大庭 利男(おおば としお)さんが実直に鍛冶屋を営んでいます。

大庭さんが主に作られているのは長く使える家庭向けの「博多包丁」。その使い勝手の良さに魅了され、県内外だけでなく、アメリカやオーストラリアなど海外からわざわざ購入しに来られる方もいるのだそう。

この記事では半世紀以上、福岡市で「博多包丁」を作っている大庭鍛冶工場についてご紹介します。

博多包丁の魅力

① 家庭用としてマルチな使い方が可能

包丁の先が鋭く三角になった見た目が特徴的な「博多包丁」。

切れ味がいいのはもちろんのこと、特徴的な刃先は、刃を上にしてごぼうの皮や人参の皮をそぎ落とすにもぴったり。これ一本で下処理から野菜・肉・魚を切ることまで可能なため、「博多の一本包丁」と呼ばれ、福岡の家庭で親しまれてきました。

その荒々しい見た目に反して軽く、疲れにくいため、毎日使うにはオススメの包丁です。

② 寿命は数十年。長く愛用することができる

真ん中に挟んである小さな部品が「鋼」

「博多包丁」は島根県の安来鋼(やすきはがね)を使って作られている包丁です。包丁の肝である鋼はその含有成分の違いによって青紙・黄紙・白紙に分かれます。プロ仕様の包丁には青紙がよく使われていますが、青紙は一般の方が研ぐのが難しいとのこと。

右から順に「博多包丁」が出来ていく製造工程。
熱をあてて叩きながら伸ばすのを繰り返す。

大庭さんは家庭で使うことを第一に考えているため、鋼の中でも一番手入れがしやすく、刃こぼれのしにくい黄紙を使っているとお話されていました。誰でも使えるよう、利き手に拘らない両刃の形をしているのもポイントのひとつです。

写真右下は20年研ぎ続けて使っている博多包丁。

「博多包丁」は2~3か月に一度の頻度で刃を研げば10年、20年も使用することが出来る調理道具です。取材中にも10年使っている包丁を持って、包丁研ぎを依頼するお客様が見えていました。

博多包丁の歴史

「博多包丁」はもともと「いなさ包丁」と呼ばれていました。長崎県に稲佐(いなさ)という地名がありますが、そこにルーツがあるのか、いつから「博多包丁」と呼ばれるようになったのかは職人である大庭さんも分からないとのこと。

ただ、昭和時代のカタログに料理包丁や刺身包丁と並んで「博多包丁」の記載があることから、その頃にはこの独特な形が「博多包丁」の名前で呼ばれ、市民に広まっていたのは確実なようです。

昔は多くの鍛冶屋で作られていた「博多包丁」ですが、今現在、「博多包丁」を作っているのは大庭さんのみ。

「お客さんの中には、孫にも大きくなったら使ってほしいから・・・とストックとして買っていく方もいるんだよ、こっちとしては仕舞わずに使ってほしいんだけどね」と少し寂しく笑う大庭さんが印象的でした。

70年、鍛冶屋を生業とする職人|大庭利男さん

中学卒業後、鍛冶職人の父に弟子入りした大庭さん。

大庭さんは「博多包丁」の他にも全国でただ1人、「相撲鍬(すもうぐわ)」という道具を作っている職人でもあります。全ての大相撲の土俵は、ここで製作された相撲鍬によって作られており、1人で日本伝統を支え続けているのです。

鍬の刃の部分

大場さんの手は黒く、大きく、思わず「職人の手だ」と呟いてしまう美しさがありました。

実直でとても温和な大庭さん。毎日、散歩途中の園児たちに手を振り、声をかけることが楽しみとのこと。近くの学校の社会見学なども受け入れ、鍛冶屋としての仕事、「博多包丁」の魅力などを次の世代に伝えることも積極的に行っているとのお話もされていました。

15歳からこれまで約70年もこの仕事を続けてきている大庭さんに、作っている時は何を考えていますか?とお聞きしたところ、「もっと良いモノを作るにはここをどう叩くといいかな~」ということをずっと考えていると教えてくれました。

大庭さんの祖父の代から続く「博多包丁」の歴史ですが、今現在その後継者はいません。全てを手作業で行っているため大量生産が出来ない事や、大庭さんが良心的な価格で販売していることもあり、この仕事を継いでほしいと言うのは簡単なことではないよ、とのことでした。

1本1本誠実に、心を込めて作られる博多包丁はお値段も良心的

「博多包丁」はどれだけ頑張っても1日に2本しかつくれません。

1本のお値段は1万2千円から。10年20年と使うことが出来る一生ものの良質な包丁は、長い目で見ると大変お得だと思いませんか。

大庭鍛冶工場では他にも、鯛など少し大きめな魚を捌ける博多出刃包丁や、普通の刺身包丁など多種多様な包丁を取り扱っています。

また、定期的に包丁研ぎを依頼されるお客さんも多いそうです。購入する方だけでなく、実物が見たい方や包丁作りに興味がある方はぜひ、鍛冶工場に足を運んでみてはいかがでしょうか。

家庭で料理を作る私たちの心強い味方に。

プロ向きじゃなくていい、家庭で日々料理を作る人にこそ、この1本が届いてほしい。そんな大庭さんの思いが込められた博多の一本包丁。

現在使用している包丁の切れ味にストレスを感じている、長く使える良い包丁が欲しいというお悩みをお持ちであればぜひ、「博多包丁」を手に取ってみて下さい。きっとこれ1本で日々の料理が軽やかに、より楽しくなると思いますよ。

大庭鍛冶工場|購入方法・インフォメーション

・購入方法…直接販売のみ。

※電話で在庫確認や受取日を伝えるとよりスムーズです

・住所…〒810-0005 福岡県福岡市中央区清川3丁目9-21

・電話…092-531-5625


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