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2024-03-15

木樽で漬ける人気高菜漬け!産地・作り方・魅力など|坂本食品工業所


福岡県民よ、高菜漬けのことどれくらい知っている?

福岡県民にとっては日常の一部であり、家庭の食卓やラーメン店などで当たり前に食べている「高菜漬け」

では、高菜漬けのことって、どれくらい知っていますか?原材料の「高菜」という野菜のこと、作り方など、語れますか?

偉そうに記事を書き始めましたが、 これらは「もっと福岡」記者の私が今回「坂本食品工業」さんに行くまで、知らなかったことでもあるのです。

身近すぎて意外と知らない!「高菜漬け」のこと。そして「坂本食品工業所」さんの高菜漬けの魅力。ぜひ、この記事で知ってください!

高菜漬け-坂本食品工業所の魅力

高菜漬けのことを知るべく今回伺ったのは、福岡県みやま市瀬高町に製造工場を構える「坂本食品工業所」さん。

創業明治29年の老舗の高菜漬け工房です。

「坂本食品工業所」さんは、高菜の一大産地でもある「みやま市瀬高町」の高菜漬け屋の中でも、数少ない「木樽」を使用した漬け方をずっと続けています。

「ここの高菜漬けじゃなきゃ」と常連のお客さんが買いに来られ、地元に愛される高菜漬けを作り続けています。

九州でも福岡・みやま市は高菜の産地!三池高菜

「高菜漬け」は名前の通り、「高菜」というアブラナ科の葉野菜で漬けられています。

高菜の産地は九州が主で、福岡県筑後地方、熊本県の阿蘇地方、長崎県雲仙市で多く生産されています。

「坂本食品工業所」さんで使用しているのは、地元の契約農家さんが栽培する「三池(みいけ)高菜」という品種。

肉厚で大きく、歯ごたえが良いのが特徴です。

その栽培の歴史は古く、明治20年に遡ります。旧柳川藩主の立花家が「特産品を作ろう!」と、農業試験場をつくったのがスタート。

その際に、中国渡来の「青菜」と、在来種の「紫高菜」を交配させ、生まれたのが「三池高菜種」です。

自然豊かな瀬高の高菜は、矢部川の豊富な水や、温暖な気候、豊かな土壌に恵まれて育ち「瀬高の高菜は一級品」とも言われています。

高菜漬けの作り方・坂本食品工業所の場合

お話を伺った代表:坂本昌一郎さんで5代目となる「坂本食品工業所」さん。受け継がれてきた「高菜漬け」には、大切に守り続けている漬け方がありました。

【ポイント!】木樽を使う

自然光を浴びてキラキラと光る、艶のある木肌。工房に入った瞬間、えも知れぬ感動が私を襲いました……!

使い込まれた木樽が並ぶ工場内

「坂本食品工業所」さんの高菜漬けの一番の特徴はこの「木樽」。酒蔵や醤油蔵などから受け継いだ木樽は、80年~100年ほど使用されているアンティーク。風合いや存在感に使い込まれてきた歴史を感じます。

自然素材の木樽にはたくさんの乳酸菌が住み着いており、この乳酸菌が乳酸発酵を進めることで高菜漬けが完成。

木樽だからこそ生まれる、素朴だけど味わい深く、酸味の良い高菜漬けなんです。

しかしながらこちらの大きな木樽、既に新しく作れる職人がほぼいないそうで「壊れないように大切に使っています」と坂本さんは仰っていました。

☆乳酸菌が約3倍!

坂本さんの息子さんの自由研究の一環で、「坂本食品工業所」さんの高菜漬けの乳酸菌量を測定したところ、一般的な高菜漬けよりも約3倍もの乳酸菌が含まれていたそう!

木樽ってすごい……!

職人技が必要な高菜漬けの漬け込み方

高菜を木樽へ漬け込む作業は全て手作業です。


① 職人が3人1組で1株ずつ高菜を木樽の中へ並べていき、樽を一周したら、色塩(塩+ウコン)を撒く。

→ この工程では、発酵を促進するため、隙間なく空気に触れないよう高菜を並べるのが職人技!色塩の撒き方も絶妙な加減が必要で、こちらも技術が必要なんです。

② ①の作業を繰り返して、樽がいっぱいになったら1tの重石を載せる。

→ 石の重みで空気が抜け、さらに発酵が促進されます。高菜の水分が抜けて、重石が徐々に下がってきますが、漬かり方に偏りが出ないように、バランスを調整するのが大切です。

③ 空気と水分が抜け上部に空間ができたら、①と②を3~4回繰り返す。

③ 発酵が進むとアクや塩水が浮いてくるので、それらを丁寧に取り除きながら、高菜の収穫時期の4月~梅雨明けごろまで数か月漬け込む。


作り方を伺い、実際に選別や検品も職人さんが手作業で行っているのを見て、ひとつひとつの工程にこんなに手間ひまをかけて漬けていることにとても驚きました。

きっと木樽でなければ、もっとたくさん、効率良く楽に漬けられるのだろうけど……。

「なぜ木樽を使い続けるのですか?プラのタンクや機械を使って大量生産しないのですか?」と坂本さんに伺うと、とても印象的な言葉が返ってきました。

「木樽はうちの命」

「木樽で漬けることを、絶対に守る。坂本食品工業所の基本中の基本で、命です」

「お客様がうちの高菜漬けをおいしいと思ってくれるのは、この漬け方のおかげですから」

取材中ずっと、優しく丁寧に高菜漬けのことを教えてくれた坂本さんでしたが、この言葉を言われるときには、真剣な表情で強い瞳を私に向けていました。

地域に根付いて代々続けてきたこと。地元のお客様に愛されてきたこと。おいしいと言ってくれる人がいること。

坂本さんの短い言葉の中に「坂本食品工業所」の信念や、これまで代々積み重ねてきた時間、バックグラウンドを感じて、ジン……と感動した私でした。

おすすめ人気の高菜漬け・工場限定「輪ゴム留め」

「坂本さんの高菜漬けを初めて食べる方に、一番おすすめの商品は何ですか?」と尋ねたところ、「それならこれこれ」と出てきたのがこちら。

う~ん、なんて素朴!笑 通称「輪ゴム留め」だそう。

スーパーなどで販売されている高菜漬けは、発酵を止めるために加熱処理をしてあるのが一般的(発酵し続けるとパッケージがガスで膨らんだり、味が変わったりしてしまうため)。

こちらは、その加熱処理をしていないので、乳酸発酵がずっと続いているそうです。ただし、工場での限定販売商品です!

木樽で漬けた「高菜漬け」は乳酸菌の影響で”酸っぱめ”の味になるそう。発酵が進むとより酸っぱさが増し、乳酸菌が増えていきます。

私も実際に食べてみましたが、この酸っぱさが良いアクセントで、クセになる!そして白米と一緒に食べると酸っぱさが良い塩梅に中和され、まろやかに。

ついつい次、つぎ……と、高菜漬けに手が伸びてしまう、素朴でほっとするような味とおいしさです。

高菜漬けを使ったおすすめ簡単レシピ

「俺は輪ゴム留めをチャーハンにするのがいっちばんおいしいと思っとうね」と、坂本さん。

高菜を油で炒めて、卵や玉ねぎなど、好きな具材を入れてくださいとのこと。

シンプルながら、絶対においしいに違いありません。笑

現地に行けない方におすすめの高菜漬け

とはいえ、製造工場まで足を運べない方もいますよね。そんな方には、真空パッケージ入りの商品たちをお取り寄せするのがおすすめです。

「瀬高産辛子高菜( 高菜の油いため )」は、豚骨ラーメンのトッピングとして食べたことがある方も多い福岡の定番グルメでもあります。

オンラインショップから購入可能なので、ぜひ食べてみてください!(オンラインショップは記事下部でご案内しています)

また、もっと高菜漬けを若い方や県外の方にも食べてもらえるように、と作られた新商品もありました。

木樽をモチーフにしたパッケージがとってもかわいくて、お土産や手土産にピッタリです!

改めて知る高菜漬けの魅力とおいしさ。ぜひ食べてみて

福岡県民のみなさん!この記事で、高菜漬けのことに少し詳しくなれましたか?

そして、中でも木樽で漬ける「坂本食品工業所」さんの「高菜漬け」は魅力がたっぷり!

ぜひ、実際に食べておいしさを感じてみてください。

実際に購入できる場所|坂本食品工業所の高菜漬け

【実店舗】

道の駅みやま

住所:〒835-0019 福岡県みやま市瀬高町大江2328

TEL:0944-67-6477

営業時間:9:00~17:00

店休日:1月1日~4日

【オンラインショップ】

公式オンラインショップ:https://takanakoubou.stores.jp/

坂本食品工業所|インフォメーション

住所:〒835-0005 福岡県みやま市瀬高町大草1107−8

TEL:0944-63-7567

営業時間:9:00~17:00

定休日:日曜・祝日


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