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2025-08-26

駆除から養殖へ!糸島・芥屋のウニで海を守る新しい挑戦|糸島漁業協同組合


「海が、ちょっとヤバいんです」

そう話すのは、糸島漁業協同組合芥屋支所の漁師さんたち。

近ごろ芥屋の海では“磯焼け”といって、海藻がほとんど生えない場所が増えてきています。

その原因が「ムラサキウニ」の増えすぎです。

増えたウニがエサになる海藻を食べ尽くしてしまい、岩場はツルツルに。

ウニがビッシリといて、ツルツルの岩場

また、エサが足りなくなったウニ自身も痩せてしまって、収穫しても売り物になりません。

中身がスカスカのムラサキウニ

「このままじゃ、海がまずい!」

そんな想いから、糸島・芥屋の漁師さんたちが始めたのがウニの養殖。

芥屋青壮年部のみなさんと福岡県水産海洋技術センターが協力して、駆除したウニを持ち帰り、養殖イカダに吊るしたカゴに入れ、餌をあげて身入りのいいおいしいウニに育てる新しい挑戦がスタートしました。

糸島・芥屋海士漁師のウニ養殖への挑戦

今回お話を伺ったのは、糸島漁業協同組合芥屋支所・海士漁師の中村直貴さん、丸田 真吾さんです。

糸島の12ある漁港の中でも、海の透明度が高く、比較的穏やかな雰囲気の芥屋。

芥屋はウニやアワビ、サザエなどを獲ったりする海士漁師が多く、他にも釣りや遊漁船などを行っており、新たな特産品として「糸島産ふともずく」の養殖にも挑戦しています。

糸島産ふともずくの収穫風景

きっかけは「できそうやん!」

同じ「糸島漁業協同組合」の福吉支所で、数年前から行っていたウニ養殖を視察したときのこと。

視察の様子

「これなら自分たちでも頑張れそうやん!」と手応えを感じた中村さんは、「福岡県海洋技術センター」に相談。

そこから芥屋支所でも試験的にウニ養殖がスタートし、トライ&エラーを繰り替えす地道な活動が続きました。

ウニ養殖が生み出す地域循環

ウニ養殖は、元々捨てられていた資源を再利用する、地域内の資源循環の取組みにもなっています。

エサには、福岡の有名うどんチェーン「牧のうどん」の出汁をとった後の昆布や、同じ糸島の農家からもらうブロッコリーの葉を使用。

ウニの養殖カゴ。沈んでいる茶色いものがエサの昆布

海藻だけでなく、野菜もエサになるのに驚きです。野菜の中でもあえてブロッコリーを使用するのは、じつは昆布の栄養に近いからなのだそう。

こちらはブロッコリーの葉を与えている様子

このブロッコリーの葉をエサとして使用するのは芥屋独自の取組みで、与えると身が色鮮やかで美しくなることが分かりました。

ブロッコリーの葉を自ら収穫に行く漁師さんたち

一方で昆布のみを与えると、旨みがギュッと濃縮され味がおいしくなりますが、色味は少し黒っぽくなります。

画像左:ブロッコリーの葉のみを与えたウニの身 / 画像右:ブロッコリーの葉と昆布を与えたウニの身

この色と味のバランスが難しく、季節によって準備できるエサの違いもあり、漁師さんたちは今でも試行錯誤の最中。

ですが、これらエサの試験的取り組みにより、結果として予想以上に良い見た目や味と実入りを実現しているそうです。

養殖されたムラサキウニの中身。養殖前と全く違いますね!

ウニ養殖で海も地域も元気に

「海藻は、魚の卵を産み付ける場所でもあるし、住処や稚魚が隠れる場所でもあるし、二酸化炭素を吸収したりとか、海では重要な役割を持っとーとですよ」と、取材に同席してくれた糸島漁業協同組合・芥屋支所長:鹿毛俊作さん。

この養殖はおいしいウニを育てるだけではなく、海藻の再生や魚介類の生息環境改善、そして未来の海を守ることにも繋がっているんです。

見えてきたウニ養殖の課題

地元百貨店や糸島の店舗での販売、直売所での”ウニ割り”イベント開催など、少しずつ販売先の開拓や活動の幅を広げて来たウニの養殖。

百貨店での販売の様子 (1)
百貨店での販売の様子 (2)

ウニ割り体験イベントは、子どもたちに、楽しみながらも海の問題を伝える良いキッカケになっています。

ウニ割り体験イベントの様子

始めてから約4年、コツコツと続けることで見えてきた課題も。

現在のウニ養殖の生産量は1シーズン3,000個ほどで、目標は、ウニ養殖を続けるための整備、漁師さんの収入、海の保全活動などを考え1万個に増やすこと。そしてそれらを全て利益が出る形で販売できる販路を作ることです。

糸島の養殖ウニは私たちが良く見る「板ウニ」に加工せず、殺菌冷却海水に入れた「塩水ウニ」で販売する形をとっています。

それは、「ミョウバン」を使わないでウニ本来の味とおいしさを保つため。

「ミョウバン」は、ウニの型崩れを防ぐために使用される添加物で身体に害はありませんが、特有の苦みを感じることがあるそうです。

塩水ウニ

おいしさにこだわりを持っているため、糸島の養殖ウニの賞味期限は3~4日と短いです。

でも、様々な海藻を食べて育つ天然のウニよりも、昆布を中心としたエサを食べ続けている養殖ウニの味は格別。

「おいしさやこの活動の意義を理解し、取り扱ってくれる飲食店が糸島や福岡市内に作れれば」

収入確保と海の再生、その両立は容易ではありません。

ですが、今日の取材で、中村さんや丸田さんがこの活動に真剣に取り組み、海の未来を変えたいと諦めず行動する様子が伝わってきました。

芥屋の海士漁師さんの挑戦を応援!

「ウニ養殖の話題をキッカケに、漁師が直面している海の問題を多くの人に知って欲しいです」と中村さん。

そして「若い漁師たちが頑張っとるのを俺たちが応援せないかん!」と笑顔の鹿毛支所長。

このウニには、海の未来を守る漁師さんたちの想いがたっぷり詰まっています。

捨てられるはずだったウニが、漁師さんの手で育てられ、おいしい一粒になって食卓へ。

もしみなさんが見かけることがあったら、ぜひそのおいしさを楽しんでみてくださいね!

糸島・芥屋|養殖ウニが購入できる場所

やますえ

〒819-1111 福岡県糸島市多久523-1

TEL:0120-417-511(フリーダイヤル) 092-321-0123(通常ダイヤル)

糸島・芥屋|ウニ養殖に関するお問い合わせ

糸島漁業協同組合 芥屋支所

住所:〒819-1335 福岡県糸島市志摩芥屋3824

TEL:092-328-2023


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