toggle
2020-05-26

ナサ工業|福岡の板金屋・地域と社員への取り組みが企業総合力を支える


福岡県糟屋郡の須恵町に工業団地があります。たくさんの工場の奥にある「ナサ工業株式会社」に、取材させていただきました。福岡県のみならず、九州、全国の暮らしをそっと支えている板金屋さんのナサ工業。「一体何をしている会社なの?」「何がすごいの?」ということをご紹介します。

板金とは?福岡県外をも支えるナサ工業

そもそも「板金」って何?

という疑問を持ってしまいますが、普段の生活では全く耳にしない言葉ですよね。

板金とは板状の金属を加工したもの全般のことです。

そう言われてもなかなかピンとこないですが、例えばエスカレーターの部品や、エレベーターの扉、鉄道車両の上にある空調ボックスなどを作っています。

板状の金属を切断したり、型で抜いたり、曲げたり、溶接・塗装することで形を作っていきます。

そういえば電車は誰が作っているのか、エレベーターの扉はどうやって作られているのか、なんてことを考えたこともなかった筆者は、知らない間に随分と暮らしに馴染んで人々の生活になくてはならないものだと知り驚きました。

ナサ工業だからできること

そんな暮らしを支えるナサ工業の代表取締役である長澤さんに、ナサ工業の板金屋としての強みをお聞きしました。

「総合力だと思います。」とずばり長澤さん。

「製品を作るには、色々な工程が必要になります。設計を行ってから、材料から型を抜き、曲げたり、溶接したり、塗装したり…。ナサ工業では、そのすべての工程を社内で行うことができるんです。」

板金屋さんと言っても、すべての会社がこの「溶接する」「塗装する」などの全工程を担えるわけではありません。むしろそういった会社は少ないですが、ナサ工業はひとつの商品を自社ですべて仕上げることが出来るのです。

ひとつの社内で色々な役割があると、実現できることの幅も自然と増えていきます。外注してしまうと、コストがかかってしまったり、実現に時間がかかってしまったりしますが、自社で行うと設備が整った環境があり、開発する側と製作する側の意思疎通も測りやすいのです。

そんなナサ工業だから作れる製品、というものがあります。例えば福岡空港のエスカレーター前に設置してあるこの機械。人が通った時だけエスカレーターを動かすこのエコで便利な機械もナサ工業が作っているものです。

エレベーターやエスカレーター、周辺機器、鉄道車両の構成部品、そして医療機器のような精密機械まで、幅広い分野で活躍しているのは、まさに「総合力」を持つナサ工業だからなんですね。

心の豊かさが仕事に繋がる。だからこそ大切にしているもの

色々な役割をそれぞれが担うからこそ、違う部署のことも考えながら作業を進めていかなければなりません。全体を見ようとする広い視野が必要になってきます。

長澤さんは「いい仕事をしていくためには、お互いのコミュニケーションがとても重要になってくる。」と考えました。

役割分担をするとどうしても自分の作業に目が行きがちですが、ひとつの製品を作るにはどの役割も欠けてはいけません。また、ただ仕事を進めるのではなく、他の人とコミュニケーションを取ることで「より良いモノを作り出そう」という意識の向上に繋がっていくのだと、長澤さんは言います。

そんなナサ工業は、業界の技能コンテストにみんなで挑戦したり(2年連続日本一を受賞)、社員旅行、社員の家族を招いてのクリスマスパーティーなどより働きやすい環境を作るための活動をとても積極的に行っているようでした。

そもそも社長である長澤さん自身が、とっても親しみやすく人間関係を大事にしている様子が取材中にも伝わってきました。工場内の皆さんにも、時々笑顔で話をしていたり、積極的に話す機会を作ったりしているのが印象的でした。

ここで働いたら楽しそう!と思ってもらえる会社

新入社員の募集などに使う、ナサ工業のコンセプトブックを拝見させてもらうと、そこには実際に働いている方の様子やそれぞれの大切にしていることなどが格好良く乗っていました。

以前は製品のことや加工の仕方などを載せていたそうですが、会社の文化やこだわり、考え方を伝えるようになったそうです。

その理由を訪ねると、「技術面は何度もやっていくうちに自然と上手になっていくものだけど、会社の社風だったり社員の姿勢だったり、そういうことを伝える方が自分が働いた場合のことを想像しやすいんじゃないかと思ったんです。」とおっしゃってました。確かに、こんな人のもとで働きたい、こんな仕事をしたい、と思わず想像してしまいます!

また、ナサ工業では社員さんの家族にも安心してもらえるようにと、社内報を作っているそうです。「自分の家族は、こんな場所で働いているんだな」と知る機会があるのってとても良いですよね♪

地域と繋がるナサ工業

ナサ工業は、地域の学校との繋がりも多く、積極的に子供たちを支援しています。そのうちの一つが企業主導型保育事業として、ナサ工業が経営している「ナサの森保育園」です。

始めたきっかけは、長澤さんの知人が保育園事業をできる企業を探していた、という些細なことだったそうです。長澤さんはお子さんがまだ小さい頃、いくつかの保育施設を転々とするなか、とてもユニークな保育園との出会いがあったそうです。実際に預かってもらうと、みるみるうちにお子さんたちが生き生きと心身共にたくましく成長し「保育の力はすごい。いつか機会があったら恩返しがしたい。」という思いを抱いたとのこと。この機会に運命を感じ、本当に保育園を作ることになったそうです。

保育園の子供たち以外にも、小学生の社会科見学、中高生の職場体験、大学生のインターンシップや企業説明会まで、どの年代にも関わる徹底っぷり!

なぜ地域と関わることにも力を入れているのかをお聞きすると、

「理由の一つは、長く営ませているこの地域への感謝、恩返しです。それと子供たちにとって大人の声を聞く機会はとても大切なことで、その機会をなるべく増やしたいと思っているからです。」

とおっしゃっていました。確かに、世の中にはこんな職業もあるんだということを知る機会もないといけませんよね。筆者は板金の世界に初めて触れて、そうなんだ!と驚くこともたくさん聞けてとても楽しかったです。そんなふうに思う機会が、これからの社会を担う子供たちに、できるだけたくさんあったらいいなと思いました。

「でも、説明会やインターンにきた子供たちに教えることで、会社にとってもいいことがあるんですよ。」と長澤さん。

「自分の、自分たちの仕事を改めて考え、口にして伝えることを通して、自分たちの仕事の価値や誇りを改めて認識することができるのです。それが上質なものづくりに繋がるんです。」

なるほど、社外の人に自分の言葉で話すアウトプットを行うことで、自分自身の理解も深まるんですね。

誇りを持って働ける場所

お話を聞いていて感じたことは「とても素敵な会社だな」と言うこと。誰もが意見を言いやすい環境づくりや、仕事に熱量を注ぎやすい工夫がいろいろなところでされていました。たくさんの人が集まる「会社」と言うコミュニティでは、いかにメンバーの心を合わせていくかが大切だと思いますが、そこには大変なエネルギーが必要です。でも、そこを怠らないからこそ、“より会社が好き”になったり“もっと良いものを作っていきたい”という思いが生まれていくのだろうと感じました。ナサ工業の作る製品は、きっと、この思いがあってこそのものなのではないでしょうか。

会社とは「社員の幸せを実現する器であり『ここで一生を過ごせてよかった』と思える場所」である。

「ナサ工業株式会社・メッセージ」はコチラ>>>

ナサ工業のインフォメーション

住所:福岡県糟屋郡須恵町大字佐谷1323-1

TEL:092-932-1126

FAX:092-932-5056


タグ:
関連記事