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2022-09-29

福岡の織物-箱崎縞が復刻。直売所兼カフェ・メゾンはこしまで出会う


ナチュラルな雰囲気で着心地の良さそうなパンツや、かわいらしい雑貨たち。

こちらの商品はかつて福岡県福岡市東区箱崎で作られていた「箱崎縞(はこざきしま)」という織物で出来ています。

今回はこの「箱崎縞」の歴史や魅力についてご紹介します!

箱崎縞|戦後途絶えて復活した織物

同じ福岡県民でも「箱崎縞」を全く知らないという方も多いでしょう。それもそのはず。「箱崎縞」は、約70年ほど前、戦争により1度生産が途絶えてしまった織物なのです。

そして、 尾畑さん・林さんご夫妻の手により、2年ほど前に復刻されました。

その歴史は、明治時代から。半農半漁が生活の軸だった傍ら、空いた時間にお母さんたちが織物を作り出したのが始まりです。

庶民の普段着として、炭鉱夫の労働着としてなど、幅広く愛用されていた「箱崎縞」。名前通りの縞模様や、格子模様が主に織られているのは、無地よりも汚れが目立たないからという理由だそう。

博多の伝統的なお祭り「博多祇園山笠」の法被にも使用されていたことから、庶民に大変親しまれ、大切にされていた背景が伝わってきます。

当時着られていた当番法被

ですが、戦争によって織物の製造は包帯やガーゼなどの軍事品へと変わっていきました。織機も、金属回収例により製鉄所に運ばれ、解体されてしまいます。

そのまま戦後も「箱崎縞」は復活することなく、60年ほどで1度目の生産を終了することとなってしまったのです。

メゾンはこしま|林 舞さん

今回お話をお聞きしたのは「メゾンはこしま」の林 舞さんです。

林さんのご主人、 尾畑 圭祐(おばた けいすけ)さんが「箱崎縞」を研究・復刻し、現在は林さんが製造・販売・直売所兼カフェの「メゾンはこしま」の運営をされています。

尾畑さんと「箱崎縞」の出会いは8年ほど前。キッカケは、人づてに出会った1枚の小さな端切れ。それは、かつて実際に使われていた「箱崎縞」でした。

実際の端切れ

「博多織」や「久留米絣」など、いくつも伝統的な織物がある福岡県。ファッションデザイナーであり、伝統的な織物がお好きだった尾畑さんは、「ほかにも福岡県の織物はないか?」と常に探求されていたそうです。

ある時、その噂を聞いた方が「『箱崎縞』というのがあるよ」と教えてくれたといいます。

“手で触ればその織物の素材が分かる”ほど織物に詳しい尾畑さん。出会いから「箱崎縞」の研究を進め、2年ほど前、ついに「箱崎縞」を機械織で復刻しました。

価格帯も含め、一般の方でも手に届く存在へ。そんな気持ちで製造を続けているといいます。

「ときどき、かつての『箱崎縞』をご存知の方がお店にいらして『復刻してくれてありがとう』と言ってくださったりします。お手紙や資料をいただくことも」

と、話される林さん。

林さん自身や、林さんの口からお聞きするご主人のお話。その言葉や仕草のひとつひとつに「箱崎縞」への深い敬意や愛情が感じられます。

「私たちは『箱崎縞』の2代目の作り手のような気持ちというか……。70年前、一度途絶えてしまった『箱崎縞』ですが、まずはこの先70年続けていけるよう、頑張っていきたいねと主人と話しています」

お2人の手により、復刻された「箱崎縞」。きっとこの先も大切に守られ、永く作られていくんだな……という未来を描くことが出来た私なのでした。ずっとずっと、生産を続けていただきたいです。

箱崎縞の織物としての魅力

かつてと同じ糸種で織られている 「箱崎縞」 の特徴は、何といってもその柔らかさ。

理由は、素材の糸が“単糸”であること。通常、織物に使う糸は強度を増すため、複数の糸をより合わせて1本の糸に仕上げてあります。

ですが、「箱崎縞」はあえて単糸で織られているため、少し破れやすくはありますが、洗えば洗うほど糸自体がほどけて柔らかくなり、どんどん肌触りが気持ちよくなっていくそうです。

「『箱崎縞』の服を着たら、他の服がバリバリして感じちゃう」「リラックスしすぎて……笑」と、お客様に言われる着心地の良さなのだとか。

デザインを加えて現代でも使えるアイテムに

ご夫妻には「当時の『箱崎縞』の生地をそのまま復刻したい」との思いがあり、それは、当時の作り手さんへのリスペクトが込められているんです。

デザインを担当する尾畑さんが大切にしているのは“生地ありきのデザイン”。「箱崎縞」の良さを活かす製品作りです。

また、通常、洋服の型紙には曲線が多いですが、「箱崎縞」にはあえて直線裁ちを取り入れ、生地のロスが出来る限りないような工夫も。端切れはキッチンクロスやハンカチなどに活かされています。

「箱崎縞」のハンカチ

なんと、残布の廃棄率は10%以下!

「大切な『箱崎縞』の生地をなるべく捨てない」という想いで製造を行っているんですね。

おすすめの商品たち

それでは、実際に店舗で手に取れる製品たちから、おすすめをご紹介します♪

はこパン

「箱崎縞」の生地を使った代表の製品といえば、まずは「はこパン」!

はこパン(シングル) / 13,750円(税込)、はこパン(ダブル ※裏地付) / 15,950円 (税込)

とっても軽くて、もちろん肌触りも抜群◎。お肌が弱い方にも着ていただきやすいんです。サイズはフリーサイズ。もし長い場合には、裾を何回か折って着てみてください。

こちらは「はこパン(ダブル)」

ポイントは、股下の“マチ”が大きくとってあること。このマチによって生み出された可動域で、とても動きやすくなっているんです。

「伝統的な織物が私に似合うかな……?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、大丈夫。

オシャレに着られるんですよ♪

私も羽織を着させていただきました!白Tシャツに羽織るだけで、ワンランクお洒落になれた気分です♪

ぜひ、試してみてくださいね。

キッチンクロス

服を作った端切れから生み出されるキッチンクロス。縞模様や格子模様がとっても可愛いです!吸水率が良いので、使い勝手も◎。

キッチンクロス / 1,870円(税込)

ナチュラルなテイストはどんなキッチンでもしっくりきそうな懐の広さ。

ちょっとした贈り物にも人気です♪

もっともっと手軽に「箱崎縞」を使ってみたい方には、ハンカチや、コースターもおすすめです。

コースター(シングル) / 715円(税込)、コースター(ダブル)850円 (税込)

☆柄も様々

「箱崎縞」には、尾畑さんがデザインした様々な柄があるんです。

定番の「献上柄」や、

「やすら縞」、

などに加え、季節限定の新作も続々と出ています。

こちらは「影縞」

ぜひ、あなたのお気に入りを探してみてくださいね。

「メゾンはこしま」喫茶スペース|箱崎縞をもっと身近に感じてもらう場所

「『箱崎縞』をゆっくり見たり、話したりする場所があればいいなと思って、喫茶スペースを作りました。カフェなら気軽に訪れることが出来ますよね」と、林さん。

ショールームの奥にある喫茶スペースは小ぢんまりとしていて、落ち着ける空間です。

また、コーヒーやお菓子も本格的。一番人気の「SHIMA」というお菓子は、「フランス伝統菓子図鑑」という本も出版されている菓子・料理研究家 :山本ゆりこさんが監修しています。

もっちりとした食感と控えめの甘さがクセになる「SHIMA」 / 400円 (税込)
レモンの爽やかな酸味!夏限定の「レモングラニテ」 / 450円 (税込)

「アパレルのショールームに行くのは緊張する……」という方でも、カフェなら入りやすいですよね。まずはお菓子を食べに足を運んでみてください♪

箱崎縞をぜひ手に取ってみて

復刻された「箱崎縞」の歴史や魅力をお伝えしました。この記事を読んで、これまで全く知らなかった福岡県民のみなさんも、さっそく興味が湧いてきたのではないでしょうか?

「実際に見てみたい、着てみたい!」という方は、ぜひ「メゾンはこしま」へ足を運んでみてくださいね。

メゾンはこしま インフォメーション

画家:牧野伊三夫さんがデザインされた鳩のロゴマークが目印です

住所: 〒812-0037 福岡県福岡市博多区御供所町12-2 本山ビル1階

TEL: 092-984-0721

HP(公式Instagram):https://www.instagram.com/hakoshima_japon/

営業時間:12:00-18:00 (l.o17:00)

定休日:日曜日・月曜日 ※詳細は公式Instagramにてご確認ください

駐車場:なし ※近隣のコインパークをご利用ください


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