長尾製麺｜江戸時代の製法を研究・うきは手延べ「吉井素麺」極意
今回私たちが訪れたのは、福岡県うきは市の「長尾製麺」さん。
福岡県の南東部に位置するうきは市。暖かい気候と筑後川の豊かな水が小麦の生育に適しており、二毛作が盛ん。小麦の生産量が多い場所としても知られています。
福岡県の小麦生産量は北海道に次いで全国2位。3位が佐賀。
福岡県と佐賀をまたぐ「筑紫平野」がその生産量を支えています。
筑紫平野の福岡側の地域を「筑後平野」と呼び、その東に位置するのがうきは市です。
なるほど、こう聞くと小麦の生産量が多いうきは市が、島原(長崎県)・神崎(佐賀県)と並ぶ【九州三大麺どころ】としても有名なのは、自然な流れかもしれません。
豊富な地下水も、製麺に向いている条件なのだとか。ですが…
「うきはは、九州三大麺どころといわれているけど、違います！」
取材の初めにそう言われて驚いた取材陣です。笑
その理由は、長尾さんに伺った、こだわり抜いた素麺のお話で分かりましたよ！
うきは・長尾製麺－江戸時代の製法を研究した手延べそうめん「吉井素麺」
「長尾製麺」で作られる麺のひとつ、「吉井素麺」は代表作のひとつ。
今でも手延べで麺を伸ばし、より江戸時代に近い製法を研究して作られています。
今回お話を伺ったのは、「長尾製麺」7代目：長尾洋介さん。
「九州三大麺どころって自分で名乗ってしまったら、最初から3番目だと認めてしまっている気がする。
他の地域ももちろんおいしいけど、うちの素麺は日本一だ！って自信を持って言える麺づくりをしたい。」
研究に研究を重ね、約25年前、長尾さんが完成させた「吉井素麺」。
その研究の量たるや、秘蔵の資料を見れば一目で膨大だとわかります・・！
びっしり書かれた研究資料の分厚さに驚き…！
こんな実話があります。
“器に盛られた各地の数ある素麺たち。目隠しをして味わい、名前を当てられたのは「吉井素麺」だけ・・！”
そのおいしさは、人々の口コミからメディアに取り上げられ瞬く間に広がり、
今ではみなさんもご存知の某大手販売店のバイヤーさんがうきは市まで直接足を運び買い付けにするほどになったそうです。
吉井素麺・おいしさの秘訣
おいしさは、もはやお墨付き！
「吉井素麺」のおいしさの秘訣は、主に2つあると教えていただくことが出来ました。
１、延ばすときに油を使用しない
手延べ素麺は、小麦を練って素麺の形に細く伸ばすため、油を使用するのが一般的。
ですが、長尾製麺では使いません。
「素麺を食べるということは、水を食べるということなんだよ。」と、長尾さん。
水と油は反するもの。油でコーティングすると麺に水が入っていかなくなり、おいしくなくなってしまいます。だから、使用しないと決めているそうです。
２、2日間ではなく3日間で作る
通常2日間で出来る素麺に、わざわざ3日間かけるのは、熟成の時間を十分にして小麦粉本来の味を引き出すためだそう。
・・・
上記2つの作り方は、一般的な方法で手延べ素麺を作るよりも、より職人の技術が必要だと思います。
だけど、私は現地ですごいものを見てしまいました。
難しいはずなのに、職人さんがいとも簡単そうにスルスルと目の前で麺を延ばしていく様！
驚きと感動でした！
おいしさの秘訣を“ヒト”にも見つけることが出来ました。
うきは・長尾製麺のイチオシ「吉井素麺」－おいしい食べ方のコツ
長尾さん自ら厨房に立ち、取材陣に「吉井素麺」をふるまってくださいました。
茹でる前からわくわく・・。
「うちの素麺はおいしいけど、日本一寿命が短いのがデメリットです。いわば、“美人薄命”の素麺だね。笑
だからおいしく食べるコツは、つゆや氷を張ったお水、器、お箸などを先に準備して、茹で上がったらすぐ食べること！」
早速、準備準備…！
完成！
うわー！麺が透き通っていて、麺が細くて繊細で・・見た目から美しくて、すごくおいしそう・・！
では、急ぎ、食べますっ！
・・！
透き通った見た目通り、麺に冷たいお水がたっぷり含まれていて、だけど麺にはしっかり味とコシがある～！
のど越しが爽やかで・・なんて、おいしいんだっ！
素麺って、夏休みに母が手を抜くために作ってくれるご飯だと思っていたけど…
ごちそうだった！！！！！
☆手作りの麺つゆ
よりおいしく素麺を食べるための「麺つゆ」の作り方も教えていただきました。
①希釈倍率の高い麺つゆを選ぶ。 ②鰹節を入れる。 ③ちょこっとだけ酢を入れる。 ④お好みで薬味を入れる。
なんとこれだけ！
実際に食べてみましたが、味わいが深くなりおいしいですよ。
「吉井素麺」を食べるときはぜひ、みなさんにも試していただきたいです！
日本一の職人になるため、必要だと思うこと
「良い職人を目指すためにはその道一筋であることも必須だけど、その反面、自由人であることも大切。
自由な一面が、職人である自分に大切なことを気づかせてくれるんです。」
取材の最中に、「そうそう」と、お気に入りのアートを見せてくださった長尾さん。笑
竹串…？ではなく、アートなのです！その魅力を見つける“面白さ”を養うのが大切なんですね。
雑談を交えて取材した時間は、なんと2時間以上！
あっという間でした。
長尾さん自身がまさに、こだわりの職人と、チャーミングな自由人を併せ持った方。
2つの顔があるからこそ、日本一おいしい素麺が出来るのだと、現地で体感した記者なのでした。
現地でも「吉井素麺」を購入できます
長尾製麺さんでも自慢の素麺や、その他麺を購入することが出来ます。
「吉井素麺」はもちろん…
細打ちの平うどん「如水」、
細打ちの丸うどん「いろは」、
インスタントラーメンの「ラーメン仮面」も！
研究しつくされた手延べそうめん「吉井素麺」、ぜひご賞味あれっ！
記事を読まれたみなさん、食べないと、人生損しちゃいますよっ！笑
素麺の概念が変わります。
「吉井素麺」をぜひ、食べるべし！
長尾製麺の日曜日だけ開店『うどん屋 井戸』
長尾製麺さんの敷地内には日曜日12時～15時の間、開店している『うどん屋 井戸』があります。
日曜日、うきはに行かれた際はぜひぜひ！
長尾製麺 アクセスなどインフォメーション
住所：〒839-1321 福岡県うきは市吉井町943
TEL：0943-75-3155
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