庄分酢|家庭料理の名脇役調味料!福岡県のお酢屋がつくる万能酢
家庭調味料のなかでも「酢」をしっかり使いこなす方は意外と少ないのではないでしょうか。
一人暮らしの方やお料理を本格的にしない方は、お醤油などと違っておうちにないという方も。
ですが、お酢があればお料理の幅をぐっと広げてくれる事まちがいなし!
あまり注目したことのないお酢のこと、ご紹介します♪
300年の歴史ある蔵|福岡県大川市・庄分酢
福岡県大川市にある「庄分酢」は、1711年からお酢作りを始めた歴史あるお酢屋さん。地元の方のご家庭では「この辺の人のお家のお酢はみんな庄分酢のお酢」というほど、誰もが知る蔵元です。
店舗兼お食事処(※ランチのみ)となっている母屋は、270年前に建てた当時の建物がそのまま使われており、なんとも風情ある雰囲気になっています。
お酢を使ったドレッシングなどの商品も合わせると自社商品が約50種類もあるんだそう!
美味しいお酢づくり
「お酢ってそもそもどうやって出来てるの?」という疑問を解決するべく、なかを見学させていただきながらお酢作りの工程を教えていただきました♪
お酢はまず、蒸したお米に酵母を加えてアルコールを作ります。
つまりまずはお酒造りから!知らなかった!
そのお酒に、酢酸菌(さくさんきん)というものを加えて発酵させたものが「お酢」なんです。
このお酒がりんごのお酒ならリンゴ酢に、お米を玄米にすれば黒酢になるんですよ。面白いですよね。
庄分酢の魅力1・酸味がまろやかな庄分酢のお酢
お酢がアルコールからできるということで記者が気になったのが
「美味しいお酒を使えば、お酢も美味しくなるのか?」ということ。
お酒に使うお米は外側を削るほど純粋で澄んだ味わいになり、高級品になっていきます。そのお酒のほうが好き!という方もいますよね。
しかし、「庄分酢」はお米の外側を含めた「まろやかさ」や「うまみ」をお酢づくりに欠かせない大切な要素としているそうです。特に味の特徴として“酸味のまろやかなお酢”をめざしているんだそう。
つまりアルコール作りの工程から、お酢を美味しくするための工夫が詰まっているんですね!
庄分酢の魅力2・静置発酵でつくる
お酢を発酵させる際、庄分酢では昔ながらの「静置発酵」という製法で行っています。
お酢になるためには、酢酸菌が空気を必要とするために、表面にうっすらと膜を貼るようにして少しずつ発酵させる必要があります。職人さんは、これをかき混ぜたりすることなくじっと見つめながら発酵の具合を見るんです。
お酢の種類や発酵の際の気温にもよりますが、期間は約3ヶ月から半年。もっとはやく発酵させる方法が他にもあるんだそうですが、「庄分酢」では目指す味のためにあえて静置発酵でつくることを選んでいるんだそうです。
300年続く蔵付きの菌
お酢づくりにはとにかく菌が過ごしやすい環境を作ってあげることが大切。職人さんたちも、「お酢作りとは生き物係なのだ」と言われるほど菌のお世話をする意識なんだそう。
そして歴史ある庄分酢の発酵蔵には、目に見えない無数の菌が住み着いているんです。建て替えの際には、菌が居なくなってしまわないよう、壁の一部ずつ時期を変えて建て替えたというくらい、このオリジナルの菌もお酢を作ってくれる欠かせない存在。
発酵している容器に目を向けると上にかけてある「むしろ」。実はこれには、中のお酢が発酵するための保温性・通気性が保たれるために大切で、そしてこのむしろにも菌が住み着いているんです。
道具ひとつとっても、お酢作りに欠かせない理由があったんですね。ここまで聞くと私にも菌に愛着が湧いてきました。職人さんたちがお酢作りを子育てに例えるということを聞きましたが、愛情もって見守ったり、菌が過ごしやすい環境に整えたりすると思うと納得です!
庄分酢|高橋清太朗さん
今回取材を受けてくださったのは、高橋清太朗さん。お父様が現在14代目です。
昔「庄分町」と呼ばれていたこの地域名から付けられた歴史ある「庄分酢」。
古くから代々伝わる大切な製法は、巻物に記されているんだとか。その昔ながらの製法を今も大事にしていますが、毎年変わる気温や、少しずつ品種改良されたお米など、その時々に合わせて微調整を行わなければなりません。
そんな微調整が難しくもあり、楽しくもあるというお酢作りの奥深さを語ってくださいました。
「最近は和食離れや、そもそも自炊をしないという方が増えたこともあって、お醤油や味噌の生産量は年々減っているんです。でもね、そんな中でもお酢だけはここ30年ずっと変わっていないんですよ」と高橋さん。お酢はお酢という形だけじゃなくて、ドレッシングやマヨネーズなど他の調味料でも活躍しているからなんだそう。
そう考えるとお酢って、縁の下の力持ちなんですね。
庄分酢おすすめ商品
50種類以上ある商品は、見ているだけでとっても楽しく、地元土産としてもおすすめです。
普段お酢の飲み比べなどなかなかできないと思いますが、蔵に行くと試飲も可能なので、じっくり選んでみてくださいね。
これ一本あればOK!万能「美味酢(うます)」
庄分酢にはじめてお買い物に来た!という方に一番人気なのが、万能酢の「美味酢」。
私も購入してみました!お酢特有のツンとしたところがなく、まろやかな酸味で、もずくにそのままかけてみても、南蛮漬けにかけても味が決まります。
お酢初心者にも、お料理に手間をかけたくない方にも、これだけで美味しくなるおすすめの商品です。
庄分純米酢
穀物系のお酢代表!
穀物系のお酢(米酢や黒酢)は、どちらかというと和食料理に合うと言われています。
酢飯などにおすすめ。
有機純りんご酢
果実系のお酢代表!
逆に果実系にお酢(りんご酢や柿酢)は、洋食に合うのだそう。
さっぱりしたりんご風味が美味しく、水や炭酸で割って飲むのもおすすめ。
人参とだいだいドレッシング
高橋さんオススメの商品。
細かく入った人参とさわやかなだいだいが美味しいさっぱりドレッシング 。
サラダはもちろん、夏野菜を焼いたものにかけたり、パスタにかけても決まるそうです!
かすみくろ酢
試飲させていただいて、美味しくてびっくりした黒酢。
通常は発酵して熟成したら取り除く酢酸菌ですが、この商品はそのままの状態で完成させるんだそうです。香りからまろやかなお米の匂いが!ちょっと香ばしい味もあり、癖のある黒酢のイメージが一気に変わりました。
お酢が楽しめるランチ|リストランテショウブン
店舗の二階にあるリストランテショウブンは、昔ながらの建物のなかでお酢を使った料理を楽しめます。
人数に限りがあり予約優先制なので、もし訪れる際には予約してから行くのがおすすめです。
ラストオーダー 14:00/閉店 15:00
おうちの調味料にぜひ庄分酢のお酢を
これまであまり深く知らなかったお酢のことをたくさん知ることができた今回の取材。
職人さんたちが手間暇かけてつくっていることや、製法の違いでこんなにも味に違いがでるんだという発見をすることで、料理をする際にお酢にも目を向けてみよう!と思えました♪
そして何より試飲したお酢たちが、美味しかった!
みなさんもぜひ、お家のお酢に庄分酢さんのお酢を選んでみてください。
庄分酢|購入先・アクセス・駐車場など
購入先はこちら:https://www.tokinokura.jp/
大川本社 / 酢Ristorante Shoubun
住所:福岡県大川市榎津548-1
電話:0944-88-1535(ランチの予約もこちらから)
営業時間:9:30~17:00
店舗向かいに駐車場あり