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2021-12-03

バイオマスエネルギー×DXを使った新しい農業の形。子どもたちの未来のために|From Tomato


福岡県古賀市で持続可能な社会を目指しながら行うバイオマスエネルギー×DXを使用した農業

福岡県古賀市新原に「バイオマスエネルギー」と「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を使った、新しい農業を行う方がいます。

それが「From Tomato」の佐々木悠二さん。農家を始めて4年目、「持続可能な社会を作りたい!」とトマトを育てていらっしゃいます。

「農業がやりたかったわけではない」とおっしゃる佐々木さんがなぜ農業を始めたのか、そして「From Tomato」が目指す未来を伺ってきました。

バイオマスエネルギーとは

みなさんは「バイオマスエネルギー」ってご存じでしょうか?
「バイオマスエネルギー」とは、動植物から生まれた再生可能なエネルギーのこと。森林の間伐材や食品廃棄物を資源とします。

これらを直接燃やしたりガス化したりことによって得られた熱を、そのまま利用したり発電などに使用したりすることが可能。石油などの化石燃料を使わない、環境に優しいエネルギーです。

エネルギーと農作物の地産地消を目指すFrom Tomato|佐々木 悠二さん

今回お話を伺ったのは、「From Tomato」の佐々木 悠二さんです。

前職はプラントエンジニアとして、製鉄所の設備を作っていたそう。脱サラし、2018年から経験0の状態でトマト農家としてのスタートを切りました。

「From Tomato」さんでは化石燃料ではなく「バイオマスエネルギー」を使用した農業を行っています。

「実は農業がやりたかったわけではなく、バイオマスエネルギーを使って何かしたいと思っていたんです。バイオマスエネルギーを使うなら農業との相性が一番良かった。だから農家を始めました」

そのキッカケは2017年に第一子が誕生し、「この子がどんな人生を歩くのか」と考えたこと。化石燃料ばかり使用している世の中に疑問を持ちました。子どもが大きくなるころには、化石燃料の素となる地下資源がなくなっているかもしれない…もっと自然に近い形でエネルギーを生み出すことはできないのか、持続可能な社会が作れないのか、と考えたそうです。

「トマトは一年中売られています。でもそれは寒い時期にもわざわざエネルギーを使ってトマトを育てているということ。さらに出来た野菜はトラックで運びますが、それにもガソリンというエネルギーを使っていますよね。わざわざ遠くに運ぶためにエネルギーを消費する意味を見出せなかったんです」

そこで自然の循環の中でつくられる「バイオマスエネルギー」を使用した農業を開始。

地元の放置竹林を使用した「バイオマスエネルギー」を、ハウスの暖房エネルギーとして活用しています。また作ったトマトを地元で販売することで、トラックでの運搬で使用する化石燃料を減らすことも考えました。

地域の放置竹林でエネルギーを生み出し、作られた農作物を地域で消費する。エネルギーと農作物の地産地消を目指しているといいます。

2020年、台風でハウスが飛んでしまったこともあり、現在は設備を再構築しさらに「From Tomato」を発展させようとされている時期。

「私たちがやっている農業が、子供たちの未来や循環可能な社会につながり、誰かのためになっているという新たな可能性に気づいてもらえたら嬉しいです」とお話される佐々木さん。

おいしいトマトを作りながら持続可能な社会を作っていく…これも新しい農業のスタイルなのだと実感しました。

From Tomatoが育てるおいしいトマト

「From Tomato」さんでは、ミニトマトの「千果(ちか)」、中玉の「フルティカ」、大玉の「セレブスイート」を育てて販売していらっしゃいます。

これはミニトマトの「千果」

「『バイオマスエネルギーで子どもたちや子どもたちの未来のために作っているトマト』の理念に共感して、それならちょっと高くてもこのトマトを買ってみよう!と思ってくださる方がいればいいですね」

こちらは中玉の「フルティカ」

オーガニックの野菜を良いと思っても、高級すぎて手に取るのは難しい…
でもできることなら、子どもにとって身体に良いものや、地球にやさしいものなど、理由を持って野菜を選びたい。

そんな方に向けて、オーガニック野菜とスーパーに並ぶ野菜の中間くらいの価格を目指しているそうです。

「From Tomato」さんのトマトは、甘みが凝縮された糖度8度以上のものばかり。とっても甘くておいしいですよ。

栽培方法にも工夫が…From Tomatoのトマトの育て方

栽培に使用するエネルギーを最小限に

一年中出荷されるトマトは寒い時期にも栽培するため、通常ならばハウス内を温めるエネルギーが必要です。

そして、トマトは40cmほど等間隔を空けて栽培するのが一般的で、広い場所とたくさんのエネルギーが必要不可欠です。なんと温室栽培には、1年で一反あたり約6,000リットルの重油や灯油が使われるんだそう。


そこで「From Tomato」さんでは、エネルギー消費が一番少ない方法を見つけトマト栽培を行っています。

まず栽培する期間は、ある程度暖かい時期限定。そのためトマトが出荷されるのは5月、11月、12月の3ヶ月のみなんです。

そして「トマトの苗を育てる部屋」と「トマトを大きくする部屋」に分けて栽培しているのが特徴。
苗だけであれば小さなスペースでの栽培が可能なため、暖房に使用するエネルギーが少なくて済むのです。

トマトの実は暖かい時期に育てることで、暖房は必要ありません。

それでも万が一凍りそうなときには、冬でも16℃くらいの温度を保っている井戸水を根の部分に流すことで、凍結を防いでいます。

このような工夫をして、暖房に使うエネルギー消費を限りなく0に近づけているんですね。

低段密植栽培を2段に

一般的なトマト農家では「長期多段取り」という方法で、トマトを栽培しています。これはトマトの茎を上に伸ばす方法です。

メリットは長期間収穫が出来て、量が取れること。しかし収穫時期が長くなるほど暖房を使用するため、エネルギーが必要となります。

そのため「From Tomato」さんは「低段密植栽培」という方法を採用。

トマトの株間を密植させて育て、茎の段数が2~3段になったら水を切り(与えるのをやめる)、実を収穫する方法です。

メリットは収穫を短期集中で行うため、使用するエネルギーが少なくて済むこと。

「長期多段取り」よりも収穫できる量が少ないため、「From Tomato」さんでは、棚を作り上下2段に苗を設置することで、収穫量を増やしているのだそう。

生産バランスがとりやすく糖度が上げやすいのも、「低段密植栽培」のメリットです。これから農家を志す方にも、取り組みやすい育て方かもしれませんね。

DX|アプリを使用した最新栽培

「From Tomato」さんのシステムで驚いたのは、アプリを使用して栽培をしていることです。パートナーさんと自社開発したアプリを使用すると、自動で水撒きなどができるのだそう!

陽の量を測定し、必要な量の水と液体肥料が撒かれるようになっているんだとか。何かトラブルがあった時もLINEでお知らせが来るなど、まさに最新なんです。

「トマトは安くておいしいというイメージがあり消費者としては嬉しいですが、たくさん出るからこそ単価が安くなり、量を作らないといけないという側面もあります。それでは農家が大変です」

「新たに設備を整えることで、これまでと違った新しい農業の形が作れればいいですね」と、佐々木さん。

「0を1にする」という前職でのプラントエンジニア経験が、このような新しい農業の形にもつながっているのだと感じました。

近い将来「From Tomato」さんが作ったアプリが、農家さんの常識になっているかもしれませんね。

From Tomatoが目指す持続可能な社会

「子どもたちの未来のために何ができるのか」を考え始まった、「From Tomato」さん。

地域で生み出したエネルギーでトマトを作り、地域で消費する…地産地消と持続可能な社会を目指した新しい農業の形です。

「From Tomato」さんのトマトを手に取ることで、佐々木さんの思いを感じたり、子どもたちが暮らす未来の環境について考えたりするきっかけになれば嬉しいです。

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株式会社 FromTomato

住所:〒811-3127 福岡県古賀市新原原口251

HP:From Tomato


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